眼球ロボットを用いた意図表出 及びマスコットロボットシステムへの応用 Fuzzy Inference based Mentality Estimation for Eye Robot Agent 山崎 洋一 董 芳艶 増田 裕太 上原 由記子 Kormushev Petar Vu Hai An LE Phuc Quang 廣田 薫 Yoichi Yamazaki, Fangyan Dong, Yuta Masuda, Yukiko Uehara, Petar Kormushev, Hai An Vu, Phuc Quang Le, and Kaoru Hirota1 東京工業大学 Tokyo Institute of Technology Abstract: Household robots need to communicate with human beings in a friendly fashion. To achieve better understanding of displayed information, an importance and a certainty of the information should be communicated together with the main information. The proposed intent expression system aims to convey this additional information using an eye robot. The eye motions are represented as states in a pleasure-arousal space model. Change of the model state is calculated by fuzzy inference according to the importance and certainty of the displayed information. This change influences the arousal-sleep coordinate in the space which corresponds to activeness in communication. The eye robot provides a basic interface for the mascot robot system which is an easy to understand information terminal for home environments in a humatronics society. 1. はじめに 近年,ロボット技術が進歩するにつれてロボットが 家庭環境へ普及することへの期待が高まっている. 人間への親しみやすさが重要となる家庭環境下のロ ボットには,単にタスクをこなすだけでなく,親し み易いインタフェースが必要である.またロボット は情報端末として,キーボードなどをインタフェー スとする既存の情報端末よりも,人にやさしいイン タフェースを持つものとなり得る.親しみやすさに は心理表出が重要であり,心理表出には顔が重要で あり,中でもとくに目が重要であることから,眼球 ロボットによる心理表出の研究が行われている[1]. 本研究では眼球ロボットを人間との対話インタフェ ースとして用いた室内分散型の家庭用情報端末ロボ ットアプリケーションであるマスコットロボットシ ステム,および提示する主情報に付随する情報を意 図として表出する眼球ロボットによる意図表出を提 案する. 2. マスコットロボットシステム 人間の生活空間において人間と共存するロボット は,エンターテインメントや高齢者支援などの観点 で今後の発展が期待されている分野であるが,ロボ ットと人間の共存を考えた場合,発話などの明示的 なコミュニケーションを行っていない時のロボット の振る舞いを考えることは重要である. 本研究では音声認識により目蓋と眼球を有する小 型コミュニケーションロボットに対する人間の語り かけから人間の興味対象や嗜好を推定し,関連情報 の提供を行うマスコットロボットシステム提案する. 提案システムでは家庭環境において人間の興味対象 や嗜好に関する情報を,室内に分散配置された小型 コミュニケーションロボットが人間と生活を共にす る中で獲得し,Web 情報推薦エンジンを利用して関 連する情報を提供する.マスコットロボットシステ ムの機器構成を図1に示す.5台の小型コミュニケ ーションロボット,音声認識モジュール,情報推薦 エンジンをRT ミドルウェアによって統合したマス コットロボットシステムを,家庭環境を想定した室 内に構築する.小型コミュニケーションロボットと して5台の眼球ロボットを用いる.眼球ロボットを 図2に示す.眼球ロボットは人間を参考にして2 自 由度の目蓋と3 自由度の眼球を有する.音声認識モ ジュールの性能を補うため1台の眼球ロボットを自 走型とする.自走型眼球ロボットを図3に示す. 図1.マスコットロボットシステムの構成 TB2-4 23rd Fuzzy System Symposium (Nagoya, August 29-31, 2007) 387 図2.5台の眼球ロボット 図3.自走型眼球ロボット 図4.ロボットとのコミュニケーション 3. 意図表出 人間とコミュニケーションするロボットアプリケ ーションを考える場合,認識性能の問題から認識に 不確定な情報を含む可能性がある.また情報推薦に 際して,優先順位付きの複数の結果を提示する可能 性がある.このような状況では,主情報に付随する 情報をロボットの意図として,主情報をともにさり げなく提示する必要がある.そこで提示情報ととも にロボット自身の情報理解,提示情報の信頼性,重 要性をわかりやすく提示するための眼球ロボットに よる意図表出を提案する. 意図表出と並ぶコミュニケーションロボットに 必要な表出として,心理表出がすでに研究されてい る.眼による心理表出動作は単独では快-覚醒平面 上に配置される.快-覚醒平面は対話への積極性を 表す「覚醒-睡眠」軸と対話者への即時的な好意を 表す「快-不快」軸の2 軸からなる.コミュニケー ションにおける心理状態の推移を考慮し,親和の1 軸を追加した親和型快-覚醒空間が提案されてい る[1]. 意図表出では音声認識により入力された情報に対 して,入力に対する確信度,出力に対する信頼度, 重要度を算出しあわせて,「覚醒-睡眠」軸に投影す ることにより心理表出を加味した意図表出を実現す る. 4. おわりに 家庭環境で人間と共存するロボットアプリケー ションとしてマスコットロボットシステムを提案 し,その意図表出システムを構築する.マスコット ロボットシステムでは,5台の小型コミュニケーシ ョンロボット,音声認識モジュール,情報推薦エン ジンをRT ミドルウェアによって統合する.眼球ロ ボットは人間を参考にして2 自由度の目蓋と3 自由 度の眼球を有し,5台のうち1台を自走型にする. 人間とのコミュニケーションを考慮し,提示する主 情報に付随する情報を意図として表出する眼球ロ ボットによる意図表出を提案する.入力された情報 に対して,入力に対する確信度,出力に対する信頼 度,重要度を算出しあわせて,「覚醒-睡眠」軸に 投影することにより心理表出を加味した意図表出 を実現する. 提案システムでは,インタフェースに操作の習得 を必要とするキーボードなどではなく,人間同士の コミュニケーションとおなじ音声認識を用いてい る.マスコットロボットシステムは既存の情報端末 に比べて人間やさしいインタフェースを持つロボ ットシステムとして,家庭に普及し得る. 謝辞 この研究は平成17 年度~19 年NEDO 度次世代ロボッ ト共通基盤開発プロジェクト「音声認識用デバイス 及びモジュールの開発」の補助を受けて行われたも のである. 参考文献 [1] Yoichi Yamazaki, Fangyan Dong, Yukiko Uehara, Yutaka Hatakeyama, Hajime Nobuhara, Yasufumi Takama, Kaoru Hirota, “Mentality Expression in Affinity Pleasure-Arousal Space using Ocular and Eyelid Motion of Eye Robot”, SCIS&ISIS2006, 2006 連絡先 山崎 洋一 E-mail: yama@hrt.dis.titech.ac.jp 388 眼球ロボットを用いた意図表出 及びマスコットロボットシステムへの応用 Fuzzy Inference based Mentality Estimation for Eye Robot Agent 山崎 洋一 董 芳艶 増田 裕太 上原 由記子 Kormushev Petar Vu Hai An LE Phuc Quang 廣田 薫 Yoichi Yamazaki, Fangyan Dong, Yuta Masuda, Yukiko Uehara, Petar Kormushev, Hai An Vu, Phuc Quang Le, and Kaoru Hirota1 東京工業大学 Tokyo Institute of Technology Abstract: Household robots need to communicate with human beings in a friendly fashion. To achieve better understanding of displayed information, an importance and a certainty of the information should be communicated together with the main information. The proposed intent expression system aims to convey this additional information using an eye robot. The eye motions are represented as states in a pleasure-arousal space model. Change of the model state is calculated by fuzzy inference according to the importance and certainty of the displayed information. This change influences the arousal-sleep coordinate in the space which corresponds to activeness in communication. The eye robot provides a basic interface for the mascot robot system which is an easy to understand information terminal for home environments in a humatronics society. 1. はじめに 近年,ロボット技術が進歩するにつれてロボットが 家庭環境へ普及することへの期待が高まっている. 人間への親しみやすさが重要となる家庭環境下のロ ボットには,単にタスクをこなすだけでなく,親し み易いインタフェースが必要である.またロボット は情報端末として,キーボードなどをインタフェー スとする既存の情報端末よりも,人にやさしいイン タフェースを持つものとなり得る.親しみやすさに は心理表出が重要であり,心理表出には顔が重要で あり,中でもとくに目が重要であることから,眼球 ロボットによる心理表出の研究が行われている[1]. 本研究では眼球ロボットを人間との対話インタフェ ースとして用いた室内分散型の家庭用情報端末ロボ ットアプリケーションであるマスコットロボットシ ステム,および提示する主情報に付随する情報を意 図として表出する眼球ロボットによる意図表出を提 案する. 2. マスコットロボットシステム 人間の生活空間において人間と共存するロボット は,エンターテインメントや高齢者支援などの観点 で今後の発展が期待されている分野であるが,ロボ ットと人間の共存を考えた場合,発話などの明示的 なコミュニケーションを行っていない時のロボット の振る舞いを考えることは重要である. 本研究では音声認識により目蓋と眼球を有する小 型コミュニケーションロボットに対する人間の語り かけから人間の興味対象や嗜好を推定し,関連情報 の提供を行うマスコットロボットシステム提案する. 提案システムでは家庭環境において人間の興味対象 や嗜好に関する情報を,室内に分散配置された小型 コミュニケーションロボットが人間と生活を共にす る中で獲得し,Web 情報推薦エンジンを利用して関 連する情報を提供する.マスコットロボットシステ ムの機器構成を図1に示す.5台の小型コミュニケ ーションロボット,音声認識モジュール,情報推薦 エンジンをRT ミドルウェアによって統合したマス コットロボットシステムを,家庭環境を想定した室 内に構築する.小型コミュニケーションロボットと して5台の眼球ロボットを用いる.眼球ロボットを 図2に示す.眼球ロボットは人間を参考にして2 自 由度の目蓋と3 自由度の眼球を有する.音声認識モ ジュールの性能を補うため1台の眼球ロボットを自 走型とする.自走型眼球ロボットを図3に示す. 図1.マスコットロボットシステムの構成 TB2-4 23rd Fuzzy System Symposium (Nagoya, August 29-31, 2007) 387 図2.5台の眼球ロボット 図3.自走型眼球ロボット 図4.ロボットとのコミュニケーション 3. 意図表出 人間とコミュニケーションするロボットアプリケ ーションを考える場合,認識性能の問題から認識に 不確定な情報を含む可能性がある.また情報推薦に 際して,優先順位付きの複数の結果を提示する可能 性がある.このような状況では,主情報に付随する 情報をロボットの意図として,主情報をともにさり げなく提示する必要がある.そこで提示情報ととも にロボット自身の情報理解,提示情報の信頼性,重 要性をわかりやすく提示するための眼球ロボットに よる意図表出を提案する. 意図表出と並ぶコミュニケーションロボットに 必要な表出として,心理表出がすでに研究されてい る.眼による心理表出動作は単独では快-覚醒平面 上に配置される.快-覚醒平面は対話への積極性を 表す「覚醒-睡眠」軸と対話者への即時的な好意を 表す「快-不快」軸の2 軸からなる.コミュニケー ションにおける心理状態の推移を考慮し,親和の1 軸を追加した親和型快-覚醒空間が提案されてい る[1]. 意図表出では音声認識により入力された情報に対 して,入力に対する確信度,出力に対する信頼度, 重要度を算出しあわせて,「覚醒-睡眠」軸に投影す ることにより心理表出を加味した意図表出を実現す る. 4. おわりに 家庭環境で人間と共存するロボットアプリケー ションとしてマスコットロボットシステムを提案 し,その意図表出システムを構築する.マスコット ロボットシステムでは,5台の小型コミュニケーシ ョンロボット,音声認識モジュール,情報推薦エン ジンをRT ミドルウェアによって統合する.眼球ロ ボットは人間を参考にして2 自由度の目蓋と3 自由 度の眼球を有し,5台のうち1台を自走型にする. 人間とのコミュニケーションを考慮し,提示する主 情報に付随する情報を意図として表出する眼球ロ ボットによる意図表出を提案する.入力された情報 に対して,入力に対する確信度,出力に対する信頼 度,重要度を算出しあわせて,「覚醒-睡眠」軸に 投影することにより心理表出を加味した意図表出 を実現する. 提案システムでは,インタフェースに操作の習得 を必要とするキーボードなどではなく,人間同士の コミュニケーションとおなじ音声認識を用いてい る.マスコットロボットシステムは既存の情報端末 に比べて人間やさしいインタフェースを持つロボ ットシステムとして,家庭に普及し得る. 謝辞 この研究は平成17 年度~19 年NEDO 度次世代ロボッ ト共通基盤開発プロジェクト「音声認識用デバイス 及びモジュールの開発」の補助を受けて行われたも のである. 参考文献 [1] Yoichi Yamazaki, Fangyan Dong, Yukiko Uehara, Yutaka Hatakeyama, Hajime Nobuhara, Yasufumi Takama, Kaoru Hirota, “Mentality Expression in Affinity Pleasure-Arousal Space using Ocular and Eyelid Motion of Eye Robot”, SCIS&ISIS2006, 2006 連絡先 山崎 洋一 E-mail: yama@hrt.dis.titech.ac.jp 388